この秋冬で、とても狭い世界で深くトレンドキーワードが流れています。それは、「衿開き」の形です。
多くのプルオーバーニットやカットソーにおいて、アンシンメトリーの衿ぐりがみられています。通常、クルーネック(丸開き)やVネックなど首回り、衿ぐりは左右対称の形で開いていますが、それがアンシンメトリー(左右非対称)になったデザインがとても多くのブランドで提案されています。
どこのブランドで?というと、20代前半をターゲットとしたギャルブランドに多いです。かっこいいクール系やゴージャス系などテイストも様々ですが、ロイヤルパーティ、SLY、EMODA,MURUA、MOUSSYなどで提案されています。30代を狙うブランドにおいてはこの提案はほとんど見られません。ピンポイントのしかも強いトレンドです。
2019年秋冬ファッショントレンド デザイン2
2019年秋冬のファッションは何が流行るのか、をパリコレクションなど世界のメゾンのコレクションの内容から推察していました。その中のひとつにデザインでは、「ワンショルダー」という片方の形だけを出したドレスがドルチェ&ガッパーナなどのメゾンで提案されていていました。これはこれで、年末の大賞受賞式などの場面でドレスのデザインに用いられていますが、普段使いでは少し弱いトレンドだったな、と思っていました。
冬になるにつれてギャルブランドにおいて、どんどんイレギュラーネックのアイテムが増えています。ワンショルダーの流れを取り込んでアレンジされています。
コレクションでのトレンドキーワードは、その通りに日本のファッション市場に出てくるものもあれば、取り込まれないものもあります。そして取り込まれてもそれほど人気がなかったな、というものもあります。ファッショントレンドは生きていますし、その時の洋服以外での状況も入ってきて、日本ならではのトレンドが生まれていくので、コレクション情報がベースではありますが、実際その通りに流行るとは限らないのです。その時期の市場や街でみんなが何を着ているのかを見て、仮説と検証をしています。正解は、実際の姿です。
ただ、一流のデザイナーが新しいものを生み出して競い合うコレクションには、ヒントがあります。そこからデザインやディティールや素材や色や今年ならではのイメージを取り入れて、日本のアパレルメーカーはモノをデザインしていくので、コレクションはとても大事です。ゼロから生み出すことができるのは、やはり一流のデザイナーなのだと思います。
街で、コートの襟もとに見えるアシンメトリーのニットを着ている女性を見ると、かわいいな、と思います。